神奈川県の制度
取り決めも回収も|神奈川県の養育費確保支援は最大15万円を補助【令和8年度】
助成 公開
この制度は神奈川県にお住まいの方が対象です。全国共通の制度と併用できます。

みさき先生、実は最近、離婚した友達から相談されたんです。「養育費を口約束のままにしてるけど、ちゃんと書面に残したほうがいいのかな。でも公正証書とか調停とか、お金がかかりそうで踏み出せない」って。神奈川県に住んでいる友達なんですけど、県がそのあたりの費用を補助してくれる制度があるって聞きました。

藤井先生それは「ひとり親養育費確保支援事業補助金」ですね。神奈川県が実施している制度で、養育費を書面で取り決めるための費用や、約束どおり払われなかったときに取り立てる費用まで、まとめて補助してくれます。公正証書の作成費用だけでなく、家庭裁判所への調停申立や強制執行申立の弁護士費用まで補助の対象になるのが大きな特徴です。

みさき取り決める費用だけじゃなくて、取り立てる費用まで見てもらえるんですか。それはありがたいですね。

藤井先生そうなんです。ただ、最初にお伝えしておきたいことがあります。この制度は神奈川県内なら誰でも使えるわけではなく、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市にお住まいの方は対象外です。この4つの市は独自に同じような支援をしている可能性があるので、該当する方はお住まいの市の窓口に確認してください。

みさきえ、横浜市とか川崎市は対象外なんですか。人口が多い市ばかりですね…。友達がどこに住んでいるか確認しないと。

藤井先生はい、そこは最初に確認してほしいところです。逆に言うと、この4市以外にお住まいなら、県のこの制度が使えます。今日は「県内なら誰でも」ではなく「この4市を除く神奈川県内」という前提で、制度の中身を見ていきましょう。
ひとり親養育費確保支援事業補助金とは

藤井先生正式名称は「ひとり親養育費確保支援事業補助金」です。実施しているのは神奈川県ですが、実際の相談・申請の窓口は、県から委託を受けた「神奈川県母子家庭等就業・自立支援センター」になります。県の案内チラシにはこう書かれています。
県の説明(原文)
「養育費は、離婚後のひとり親家庭の子どもの健やかな成長のために必要な費用です。ひとり親家庭の方が養育費を確実に受け取ることができるよう、養育費の取り決めや履行確保にかかった費用について県が補助します。」

藤井先生約束した養育費が実際に払われるようにする、という意味です。決めるだけでなく、払われなかったときに取り立てる部分まで含めて「履行確保」と呼んでいます。だからこそ、後で説明する4つの補助のなかに、調停や強制執行の費用まで入っているんですね。対象になる方は、神奈川県内(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く)にお住まいのひとり親家庭の母または父で、養育費の取り決めの対象となる20歳未満の児童を現に扶養している方です。母子家庭・父子家庭のどちらも対象になります。

みさき20歳未満なんですね。児童扶養手当だと18歳になった年度末までって聞いた記憶があるので、こっちのほうが少し長いんですね。

藤井先生よく覚えていましたね。そのとおりで、
児童扶養手当の対象年齢とは基準が違います。ここは混同しやすいので、この制度は「20歳未満」と覚えておいてください。あと、注意点がもう一つあります。県のページには「過去に同種類の補助を受けている場合は、補助を受けられない場合があります」ともあるので、以前にこの補助を使ったことがある方は、申請前にセンターへ確認したほうがいいですね。
4つの補助の内容

藤井先生ここからが本題です。この制度は1つの補助ではなく、4種類に分かれています。毎月継続して支払われる手当ではなく、かかった費用を払ったあとに申請する補助金という点は先にお伝えしておきますね。それぞれ対象になる場面と上限額が違うので、順番に見ていきましょう。


みさき4つも種類があるんですね。全部説明してもらえますか?

藤井先生はい。まず1つ目は公正証書作成補助で、上限は4万円です。養育費について取り決めた、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成する際の、公証人手数料(養育費に関する部分のみ)や、公証役場に提出する戸籍謄本などの取得費用、郵便切手代が対象になります。

みさき「強制執行認諾文言付き」というのが、養育費が払われなかったときに差し押さえまで進める前提の書き方、ということでしたよね。前に法務省の制度のところで教えてもらいました。

藤井先生よく覚えていますね、そのとおりです。あとの2つの補助が、まさにその「払われなかったとき」に関わる部分です。2つ目は養育費請求調停申立補助で、上限は15万円。家庭裁判所に養育費の取り決めを求める調停を申し立てるときに、弁護士や司法書士に依頼する着手金、収入印紙代、戸籍謄本の取得費用、郵便費用が対象です。

みさき弁護士さんへの着手金まで見てもらえるんですか。

藤井先生はい。そして3つ目は養育費強制執行申立補助の上限も15万円です。すでに公正証書や調停調書などの「債務名義」を持っている方が、約束どおり払われない養育費について強制執行を申し立てるときの、同じく弁護士費用や収入印紙代などが対象になります。

みさき調停の弁護士費用も、強制執行の弁護士費用も、それぞれ15万円まで見てもらえるんですか。

藤井先生はい。取り決める段階の調停だけでなく、強制執行の弁護士費用まで上限15万円で補助しているのが、この制度の大きな特徴です。

みさきなるほど、取り決めるところで終わりじゃなくて、その先まで見てくれているんですね。

藤井先生そして4つ目が養育費保証契約補助の上限は5万円です。民間の養育費保証会社と保証契約を結ぶときの、初回保証料が対象になります。

みさき保証会社と契約すると、養育費が払われなかったときに保証会社が立て替えてくれる、というものですよね。

藤井先生そのとおりです。この4つを表にすると、こうなります。

藤井先生どの補助も、申請期限は「起算日の翌日から1年以内」で共通しています。1年という期間はありますが、公正証書を作ったり調停が終わったりしたあと、うっかり忘れないように早めに申請しておくと安心です。

みさきなるほど、種類ごとに上限額と期限がセットになっているんですね。全体像はわかりました。
上限額とかかった費用の関係

藤井先生ここで、金額の考え方について、正確にお伝えしておきたいことがあります。この4万円や15万円という金額は、「必ずその金額がもらえる」という意味ではありません。実際にかかった費用の合計額と、上限額を比べて、低いほうまでしか補助されないという仕組みです。

藤井先生例えば、調停申立補助の上限は15万円ですが、実際に弁護士さんへの着手金や収入印紙代などを合計した金額が9万円だったとします。その場合は、上限の15万円ではなく、実際にかかった9万円が補助されるということです。逆に、実際にかかった費用の合計が20万円だった場合は、上限を超えるので、15万円までしか補助されません。


みさきつまり、上限額は「最大でここまで」という天井であって、必ずその金額がもらえる保証ではないんですね。

藤井先生そのとおりです。これは4つの補助すべてに共通する考え方です。公正証書作成補助の4万円も、保証契約補助の5万円も同じで、実際にかかった費用の合計額が上限より少なければその実費まで、上限より多ければ上限額までが補助されます。領収書の写しの提出が必須なので、支払った費用がわかるものは必ず取っておいてくださいね。
対象者と申請できる範囲

藤井先生ここで対象者の要件をもう一度整理しておきましょう。次の3つをすべて満たす必要があります。
- 神奈川県内(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く)に居住していること
- 養育費の取り決めの対象となる、20歳未満の児童を現に扶養していること
- 過去に同じ種類の補助を受けていないこと(受けている場合は対象外になることがあります)

藤井先生この3つのうち、特に見落としやすいのが1つ目の居住地です。県内全域が対象の制度もあるなかで、この制度は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外という線引きになっています。気づかずに読み進めてしまう方もいるので、最初にお伝えしました。

みさき私だったら、最後まで読んで「あ、対象外だった」ってなったら、すごくがっかりすると思います。

藤井先生そうですよね。だからこそ最初にお伝えしています。もう一つ、見落としやすい注意点があります。調停申立補助について、県は「離婚調停申立(夫婦関係調整調停申立)等に養育費を含む場合は対象としていません」と明記しています。つまり、離婚そのものを決めるための調停の中で養育費についても話し合った場合は、この補助の対象にならないということです。

みさきえ、それは知らなかったら申請できると思ってしまいそうです。どう違うんですか?

藤井先生対象になるのは、あくまで「養育費請求調停」という、養育費のことだけを求める調停です。離婚するかどうかや親権なども含めた「夫婦関係調整調停」の中で養育費も一緒に話し合った場合は、この補助の対象にはなりません。すでに離婚が成立していて、養育費だけを新たに求める調停を申し立てる場合などが、この補助の想定するケースになります。

みさき強制執行申立補助のほうは、また要件が違うんですか?

藤井先生はい。強制執行申立補助を使うには、前提として「債務名義」(このとおり養育費を支払いなさい、と裁判所や公証役場が認めた文書のことです。強制執行認諾文言付きの公正証書や、調停調書などがこれにあたります)を、すでに持っている必要があります。何もないところからいきなり強制執行はできず、まず公正証書や調停で取り決めがある状態が前提になる、という順番です。①の公正証書作成補助や②の調停申立補助を使って書面を整えた方が、その後に養育費が払われなくなったときに③を使う、という流れが自然な使い方ですね。

みさきなるほど、①や②で土台を作ってから、必要になったら③に進む、という関係なんですね。
必要書類と申請の流れ

藤井先生必要書類は、補助の種類によって少しずつ違いますが、共通するものが多くあります。ここでは代表的なものをお伝えしますが、正式な書式や部数は、必ず窓口のセンターに確認してください。
- 補助金交付申請書(第1号様式)と補助金交付請求書(第4号様式)
- 養育費について取り決めた公正証書や調停調書などの写し
- 補助対象経費の領収書の写し
- 児童扶養手当証書の写し、または「申請者及び対象児童の戸籍謄本・抄本」と「世帯全員の住民票の写し」
- 弁護士等への委任費用の補助を受ける場合は、委任契約書の写し

藤井先生4つ目でお伝えした「児童扶養手当証書の写し」というのは、
児童扶養手当を受けている方が、証書のコピーを出せば済むという意味です。受けていない方は、代わりに戸籍謄本と住民票で扶養の事実を確認します。なお、調停申立補助と強制執行申立補助の対象経費に出てきた「収入印紙代」は、裁判所に手続きの手数料として納める印紙の代金のことです。この費用も、弁護士費用と同じく補助の対象に含まれます。

みさき児童扶養手当をもらっていなくても、申請できるんですね。

藤井先生はい、そこは安心してください。所得制限のような要件は、県のページには書かれていません。次に、申請の流れを整理します。特に調停や強制執行を弁護士や司法書士に依頼する場合は、順番がとても大事なので気をつけてください。
ステップ
-
費用が発生する前に、まずセンターへ相談する
弁護士・弁護士法人・法テラス・司法書士(県はこの4つをまとめて「弁護士等」と呼んでいます)に委任する費用の補助を受けたい場合は、契約の前に神奈川県母子家庭等就業・自立支援センターへの事前相談が必須です。契約してから相談すると、補助の対象にならないおそれがあります。
-
公正証書の作成・調停の申立て・強制執行の申立て・保証契約の締結を行う
相談を踏まえて、実際に費用のかかる手続きを進めます。かかった費用の領収書は必ず保管してください。
-
期限内に申請する
それぞれの手続きが終わった日の翌日から1年以内に、補助金交付申請書などの必要書類をそろえてセンターへ提出します。

藤井先生特に大事なのが1番目です。公正証書作成補助だけを利用する場合は事前相談の指定はありませんが、弁護士等への委任費用が絡む調停申立補助・強制執行申立補助では、契約前の事前相談を忘れると補助を受けられなくなる可能性があるので、必ず先に電話してください。

みさき弁護士さんに頼む前に、まずセンターに電話するのを忘れないようにします。

藤井先生それから、4つ目の保証契約補助についても少し補足しますね。「養育費保証」は、民間の保証会社と契約しておくと、元配偶者からの養育費の支払いが止まったときに、保証会社がいったん立て替えて払ってくれるサービスです。この制度が補助してくれるのは、契約するときに保証会社へ支払う初回の保証料のみで、2年目以降の更新料などは対象に含まれません。この保証契約補助を受けるには、公正証書や調停調書などの債務名義を持っていることが県の要件になっているので、ここでも①や②が先に必要になります。

みさき保証契約も、先に書面を整えていないと結べないんですね。4つの補助が、それぞれ独立しているようで、実はつながっているんだと分かりました。
注意点
対象外の4市にお住まいの方へ
横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市にお住まいの方は、この神奈川県の補助金の対象になりません。お住まいの市に、養育費に関する独自の支援制度がないか、市役所の窓口で確認してください。
離婚調停に養育費を含めた場合は対象外
離婚するかどうかを決める夫婦関係調整調停(離婚調停)の中で養育費についても取り決めた場合、その調停申立にかかった弁護士費用は、この養育費請求調停申立補助の対象にはなりません。対象になるのは、養育費のことだけを求める調停です。

みさきこの2つ、どちらも見落としそうなので気をつけます。

藤井先生あと、県内どこでも同じことが受けられるとは限らないという点は、実はもう一つ別のところにもあります。神奈川県は看護師・介護福祉士・保育士を目指す方向けに、
特定高等職業訓練促進給付金という県独自の上乗せ給付金も用意しています。今日の養育費の補助とは別の制度ですが、同じセンターや市の窓口が関わることも多いので、資格取得も考えている方は合わせて知っておくとよいと思います。

みさき養育費のことだけでなく、いろいろな県独自の制度があるんですね。

藤井先生そうなんです。それから、今日お話ししたのはあくまで神奈川県が実施する制度についてです。お住まいの市区町村が、これとは別に独自の助成や上乗せをしている場合もあります。市役所・区役所のひとり親家庭担当の窓口で、市区町村独自の制度がないかもあわせて確認してください。
そもそも養育費をどう取り決めるか

みさきこの制度は「お金の補助」ですが、そもそも養育費をどうやって取り決めればいいのかは、また別の話ですよね。

藤井先生はい、そこは全国共通の話になります。
養育費の取決めの支援(法務省)という記事で、公正証書の作り方や、話し合いの進め方について詳しく説明しているので、まだ取り決め自体ができていない方は、そちらもあわせて読んでみてください。今日の記事は「取り決めや取り立てにかかる費用を、神奈川県がどう補助してくれるか」に絞ってお伝えしています。

みさき決め方は法務省の記事、費用の補助は今日の神奈川県の記事、とセットで見ればいいんですね。よくわかりました。

藤井先生最後にもう一つだけ。取り決めをしていなくても最低限の養育費を請求できるようにする「法定養育費」の仕組みが、民法等の改正によって
令和8年4月1日から始まっています。詳しい内容は
養育費の取決めの支援(法務省)の記事で確認できますが、こうした国の制度が動いているタイミングだからこそ、神奈川県のこの補助金を使って早めに書面を整えておく価値があると思います。

みさき制度が変わっていく途中だからこそ、今できることをやっておいたほうがいいんですね。
ひとり親養育費確保支援事業補助金の基本情報まとめ
併用できる他の支援制度

藤井先生最後に、あわせて知っておくと役立つ制度を紹介します。
- 養育費の取決めの支援(法務省): 養育費をどう話し合い、公正証書などの書面にどう残すかを説明した全国制度の記事です。今日の神奈川県の補助金と組み合わせて読むと理解が深まります。
- 児童扶養手当: この補助金の必要書類として、児童扶養手当証書の写しが使えます。まだ申請していない方は、対象かどうかを確認してみてください。
- 特定高等職業訓練促進給付金(神奈川県): 看護師・介護福祉士・保育士を目指す方向けに、神奈川県が独自に上乗せする給付金です。同じ神奈川県独自の制度として知っておくと役立ちます。
公式情報・問い合わせ先
問い合わせ先
神奈川県母子家庭等就業・自立支援センター
〒251-0054 神奈川県藤沢市朝日町9-4-203
TEL&FAX 0466-90-3601
メール soudan@khitorioya.com
受付時間 月曜日から土曜日の9時から17時まで
※本記事は令和8年9月時点の公表情報をもとに作成しています。ひとり親養育費確保支援事業補助金の対象者、補助対象経費、申請期限などは、個別の状況によって異なる場合があります。最新情報は、神奈川県母子家庭等就業・自立支援センターまたはお住まいの市区町村の担当窓口でご確認ください。