東京都の制度

親の病院代も安くなる|東京都のひとり親家庭等医療費助成制度は1割負担【令和8年度】

この制度は東京都にお住まいの方が対象です。全国共通の制度と併用できます。

みさき
先生、ひなが最近よく発熱して小児科に通っているんですけど、正直、通院のたびに数千円かかるのが地味に痛くて……。子どもの医療費助成は市区町村でやっているのは知っているんですが、それとは別に「マル親」っていう医療証をもらえるって聞きました。あれって何なんですか?
藤井先生
結論から言うと、マル親(ひとり親家庭等医療費助成制度)はお子さんだけでなく、みさきさん自身の医療費の自己負担も助成される制度です。子ども医療費助成(いわゆるマル子)は子どもの分だけが対象ですが、マル親は親であるみさきさんの通院・入院もカバーされます。ここが一番の違いです。
みさき
え、私の分もですか! 知らなかったです……。子どもの医療証しか申請していませんでした。
藤井先生
それは申請すれば今からでも対象になりますので、ぜひ動いてみてください。それと、東京都が自己負担割合や上限額の基準を定めていて、お住まいの区市町村の窓口で「マル親医療証」を出してもらいます。全国的に見ると、ひとり親家庭等医療費助成制度そのものは多くの都道府県にありますが、自己負担の割合や上限額は自治体ごとにバラバラです。この記事では東京都の基準を具体的な数字で説明します。全国的な制度の考え方はひとり親家庭等医療費助成制度(全国版)の記事も参考にしてください。
みさき
東京都の基準があるんですね。もし東京都以外に住んでいる人がこの記事を読んだらどうすればいいですか?
藤井先生
東京都の数字(自己負担1割、月18,000円上限など)はあくまで東京都のものなので、他の道府県では違う基準になります。お住まいの自治体にも同じ趣旨の医療費助成制度がある可能性が高いので、市区町村の窓口やホームページで「ひとり親家庭等医療費助成」を検索してみてください。

マル親でいくら助成されるか

みさき
それで、具体的にはいくら助成されるんですか?
藤井先生
令和8年度時点で、世帯の住民税課税状況によって2パターンに分かれます。表にまとめますね。
世帯区分通院入院
住民税課税世帯総医療費の1割負担(月額上限 18,000円、年間上限 144,000円)総医療費の1割負担(月額上限 57,600円。入院が続いた場合は44,400円になることがあります)
住民税非課税世帯自己負担なし(保険診療の自己負担分を全額助成)自己負担なし
みさき
非課税世帯(住民税がかからない世帯)だと医療費がまるごとタダになるってことですか?
藤井先生
そのとおりです。非課税世帯の場合、保険診療の範囲内であれば、通院も入院も自己負担がゼロになります。課税世帯の場合は完全無料ではありませんが、通常は3割負担のところが1割負担まで下がり、しかも月18,000円を超えた分は都が助成してくれるので、実質的な負担はかなり軽くなります。
子ども医療費助成との違い

子ども医療費助成(マル子)は子どもの医療費だけが対象ですが、マル親(ひとり親家庭等医療費助成制度)は児童を監護しているひとり親自身の医療費も対象になります。両方の医療証を持っている場合、お子さんの通院にはマル子の医療証、ご自身の通院にはマル親の医療証を使う、という使い分けになります。窓口でどちらの証を使うべきか迷ったら、医療機関の受付か区市町村の窓口に確認してください。

マル親と子ども医療費助成の対象範囲のちがいの図解。マル親(ひとり親家庭等医療費助成)はひとり親本人と子どもが対象で、親自身の通院・入院も助成される。子ども医療費助成(マル子)は子どものみが対象で親の医療費は対象外。両方の医療証を持つ場合は使い分けることを示している

みさき
年間上限144,000円っていうのも気になります。うちみたいに通院が多い家庭だとどのくらい助かるものなんですか?
藤井先生
たとえば持病があって毎月通院が必要なケースを考えてみましょう。仮に総医療費が月30,000円かかっていたとします。マル親がなければ健康保険の自己負担(3割)でも月9,000円かかりますが、マル親の1割負担なら月3,000円で済みます。それでも年間で見ると数万円の差になりますし、入院が重なった場合は月57,600円という上限があるおかげで、家計への影響を一定の範囲に抑えられます。
みさき
3割負担と1割負担でこんなに違うんですね。子どもが複数いる家庭だと、上限額はどう計算されるんですか?
藤井先生
そこは少し複雑です。通院の月額18,000円の上限は個人ごと(対象者お一人ごと)に計算されます。一方で、入院と通院を合わせた世帯全体の負担についても、月57,600円を超えた場合にさらに軽減される仕組みがあります。お子さんが複数いるご家庭はこの計算が分かりにくいので、実際にいくらになるかは窓口で確認するのが確実です
みさき
二重構造なんですね、正直ちょっと複雑です……。うちは非課税世帯(住民税がかからない世帯)なのか課税世帯(住民税がかかる世帯)なのかよく分かっていないんですが、どこで確認すればいいですか?
藤井先生
住民税の課税・非課税は、前年の所得と扶養人数などによって決まります。パート収入約180万円で、お子さん1人を扶養しているみさきさんのようなケースでは非課税になっている可能性もありますが、正確には市区町村民税・都民税の課税状況通知や、役所の税務課での確認が必要です。マル親の申請時に窓口で一緒に確認してもらえますので、まずは申請してみるのが早道です。

申請前に確認しておきたい5つのポイント

みさき
東京都基準は分かりましたが、区によって細かい運用が違うって最初におっしゃっていましたよね。何を確認すればいいのか整理してもらえますか?
藤井先生
いい質問です。マル親のような自治体実施型の制度は、次の5つのポイントに沿って窓口で確認すると、聞き漏らしがなくなります。
窓口で確認したい5つのポイント
  • 誰が対象か: 監護しているひとり親(母または父)本人か、児童本人か、両方か
  • 誰の分の医療費が助成されるか: 通院・入院それぞれで対象になる医療費の範囲
  • 所得制限はどのくらいか: お住まいの区市町村での具体的な限度額
  • 窓口負担はどうなるか: その場で1割負担になるのか、いったん立て替えて償還払いになるのか
  • 申請期限・更新の手続きはあるか: 毎年の現況確認や、資格が変わったときの届け出のタイミング
藤井先生
この5点さえ押さえておけば、区市町村ごとに案内の書き方が違っても迷わずに済みます。
みさき
なるほど、聞くべきことリストがあると安心です。次は誰が対象になるのか、詳しく教えてください。

対象になる人・ならない人

みさき
誰でも申請できるわけじゃないんですよね?
藤井先生
はい、対象・対象外がはっきり決まっています。
区分内容
対象18歳到達年度末までの児童(中程度以上の障害がある場合は20歳未満)を監護しているひとり親等の母または父、および児童本人
対象外所得が限度額以上の方/健康保険未加入の方/生活保護受給中の方/児童福祉施設等に措置入所または里親委託されている児童/事実婚状態にあると認定された方
みさき
「事実婚状態」というのが少し気になります。籍を入れていなくても対象外になることがあるんですか?
藤井先生
はい、そこは注意が必要な点です。婚姻届を出していなくても、異性と同居している、あるいは頻繁に生計を共にしているといった生活実態がある場合、事実婚とみなされて対象外になることがあります。ただし、これは自治体が生活実態を踏まえて個別に判断するものなので、単純に「同居している人がいるから即アウト」というものではありません。心当たりがある場合は、正直に窓口に相談することをおすすめします。
みさき
隠して申請するより、正直に相談したほうが良さそうですね。
藤井先生
そうですね。資格を偽って助成を受けてしまうと、後で助成分の返還を求められることもあります。状況が変わったときは早めに窓口へ届け出るのが一番安全です。

所得制限について

みさき
所得制限もあるんですよね。私くらいの収入だと対象になりますか?
藤井先生
マル親の所得制限は、児童扶養手当に準じた基準が使われていますが、限度額の運用は区市町村によって差があるため、東京都内であっても一律の金額を断定的にお伝えすることはできません。年収約180万円のみさきさんのケースであれば、多くの場合は所得制限の範囲内に収まると考えられますが、正確な判定はお住まいの区市町村の窓口で確認してください。
所得制限は自治体で確認を

マル親の所得制限額は、児童扶養手当の基準に準じつつも、実際の運用は区市町村ごとに確認が必要です。東京都内でも自治体によって案内の書き方や運用に差があるため、「東京都だから一律この金額」と思い込まず、必ずお住まいの区市町村の窓口で確認してください。

みさき
わかりました、まずは窓口に聞いてみます。ちなみに、対象になったらどうやって使うんですか?

マル親医療証の使い方と申請の流れ

藤井先生
認定されると「マル親医療証」が交付されます。医療機関を受診するときに、マイナ保険証か資格確認書とあわせてこの医療証を窓口に提示すれば、その場で自己負担が助成後の金額に軽減されます。
ステップ
  1. お住まいの区市町村の窓口(子育て支援課・福祉事務所等)で、マル親医療証の交付申請をする
  2. 申請時に必要な書類(戸籍謄本、健康保険の資格がわかるもの(マイナ保険証・資格確認書など)、課税・非課税を確認できる書類など、詳細は窓口で案内)を提出する
  3. 審査を経て、認定されるとマル親医療証が郵送または窓口で交付される
  4. 医療機関を受診する際、マイナ保険証か資格確認書とマル親医療証をあわせて窓口に提示する
  5. 助成後の自己負担額(1割または無料)を医療機関の窓口で支払う
  6. 医療証を忘れた場合や都外の医療機関を受診した場合は、いったん通常の自己負担分を支払い、後日区市町村に申請して差額の払い戻し(償還払い)を受ける
藤井先生
必要書類は、申請理由や世帯状況、市区町村によって異なります。以下は一例です。窓口へ行く前に、必ずお住まいの区市町村へ確認してください。
みさき
医療証を忘れたら終わり、というわけじゃないんですね。少し安心しました。
藤井先生
はい、償還払い(あとから差額を払い戻してもらう手続き)という形でカバーされます。ただし、いったん自己負担分を立て替える必要があり、領収書の保管や申請の手間もかかるので、できるだけ受診のたびに医療証を持ち歩くのが一番スムーズです。
みさき
都外の病院にかかったときはどうなりますか? 実家が東京都外なので、帰省中に受診することもあると思うんです。
藤井先生
都外の医療機関では、東京都のマル親医療証がそのまま使えない窓口が多いです。その場合は通常どおり保険診療の自己負担分を一度支払い、あとで区市町村に申請して差額の払い戻しを受ける、という償還払いの手続きになります。領収書は必ず保管しておいてください。
みさき
高額療養費制度っていうのも聞いたことがあるんですが、マル親と関係ありますか?
藤井先生
大きな手術や長期入院で医療費が高額になった場合、まず健康保険の高額療養費制度が適用され、自己負担額に上限が設けられます。マル親は、その高額療養費制度適用後の自己負担分から、さらに一部負担金を差し引く形で助成する仕組みです。つまり高額療養費とマル親は競合するのではなく、順番に重なって自己負担を軽くしていく関係にあります。大きな医療費がかかりそうなときは、高額療養費の申請とマル親医療証の両方を意識しておくと安心です。

児童扶養手当の申請と一緒にできるか

みさき
児童扶養手当を申請したときに、マル親のことも案内されました。あれって同時に手続きできるものなんですか?
藤井先生
窓口の場所が同じ(子育て支援課や福祉事務所)ことが多く、案内も一緒にされることが多いのですが、制度としては別々の申請が必要です。児童扶養手当の認定請求書とマル親医療証の交付申請書は別の書類なので、「児童扶養手当を申請したから自動的にマル親も交付される」ということはありません。窓口に行った際は、両方申請したいことをはっきり伝えてください。
みさき
危なかった、児童扶養手当だけ申請して満足するところでした。
藤井先生
よくあることなので、窓口でも丁寧に案内してくれるはずです。念のため「マル親医療証も申請したいです」と自分から伝えると確実ですね。

マル親医療証の申請から利用までの流れの図解。STEP1は窓口で申請する、STEP2は必要書類を提出する、STEP3は医療証が交付される、STEP4は医療機関で提示する、という4ステップ

マル親の基本情報まとめ

みさき
最後に表でまとめてもらえますか?
藤井先生
もちろんです。
項目内容
制度名ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親・東京都基準)
助成内容医療保険の自己負担分から一部負担金を差し引いた額を助成(現金給付ではない)
自己負担(課税世帯)通院: 総医療費の1割・月額上限18,000円・年間上限144,000円/入院: 総医療費の1割・月額上限57,600円
自己負担(非課税世帯)通院・入院ともに自己負担なし
対象18歳到達年度末までの児童(障害がある場合は20歳未満)とその児童を監護するひとり親等
所得制限あり(児童扶養手当に準じた基準。運用は区市町村により確認が必要)
申請窓口お住まいの区市町村の子育て支援課・福祉事務所等
公式URLhttps://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/josei/maruoya

併用できる他の支援制度

みさき
マル親と一緒に使える制度も教えてください。
藤井先生
はい、ひとり親家庭が使える制度は組み合わせて考えるのが基本です。
  • 児童扶養手当: 国の制度。所得に応じて満額から一部支給まで受け取れる現金給付です。マル親とは別申請が必要ですが併用できます。
  • 児童育成手当(東京都): 東京都独自の手当で、児童1人あたり月額13,500円。マル親と重ねて利用できます。
  • ひとり親家庭等医療費助成制度(全国版): 東京都以外の自治体の制度を知りたい場合や、制度の全国的な位置づけを確認したい場合はこちらもあわせてご覧ください。
  • ひとり親控除: 税金の控除制度。マル親の所得判定にも影響する場合があるので、あわせて理解しておくと安心です。
藤井先生
母子家庭・父子家庭のどちらも対象になる制度で、シングルマザーもシングルファーザーも同じ基準で申請できます。子どもだけでなく親自身の医療費もカバーされる点は、見落としがちな大きなメリットです。

公式情報・問い合わせ先

問い合わせ先
  • 東京都福祉局 ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親): https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/josei/maruoya
  • 申請や所得制限・自己負担額の確認は、お住まいの区市町村の医療助成担当窓口(国保年金課・子育て支援課など)にご相談ください

※本記事は令和8年7月時点の東京都および区市町村の公表情報をもとにしています。マル親医療費助成制度の認定、所得計算、必要書類、自己負担額などは、個別の状況や市区町村によって異なります。最新情報は、お住まいの市区町村の担当窓口でご確認ください。

よくある質問

シングルマザーですが、課税・非課税がわからなくてもマル親医療証を申請できますか?
申請後に自治体側で課税状況を確認するため、まずは交付申請をしてください。非課税世帯なら自己負担なし、課税世帯でも1割負担に軽減されます。
父子家庭でもマル親医療費助成は使えますか?
母子家庭・父子家庭のどちらも対象です。養育者の性別によって扱いが変わることはありません。
マル親と子ども医療費助成(マル子)は両方使えますか?
使えます。マル子は子どもの医療費、マル親は親自身の医療費が対象で、それぞれの受診で使い分けます。
医療証を忘れて受診した場合はどうすればいいですか?
いったん通常の自己負担分を支払い、領収書を保管したうえで区市町村に申請すると、後日差額の払い戻し(償還払い)を受けられます。

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