埼玉県の制度
取り立てる費用を補助|埼玉県の養育費確保支援は上限15万円【令和8年度】
助成 公開・ 更新
この制度は埼玉県にお住まいの方が対象です。全国共通の制度と併用できます。

みさき藤井先生、埼玉県で「共同親権」に関する相談窓口ができたってニュースで見たんですけど、これって埼玉県に住んでいれば誰でも使えるものなんですか?

藤井先生そこ、実は最初に確認していただきたいポイントなんです。この事業は1つではなく、対象になる地域が違う2つの支援がセットになっています。まず結論からお伝えしますね。

藤井先生はい。1つ目は「共同親権等相談窓口」。こちらは埼玉県内にお住まいなら、政令市(さいたま市)と中核市(川越市・川口市・越谷市)を除いて利用できます。2つ目は「養育費確保(差押え等)支援」という補助金で、こちらは埼玉県内の町村にお住まいの方だけが対象です。

みさき町村だけ……。埼玉県って40市もありますよね。ほとんどの人は市に住んでいると思うので、2つ目の補助金は使えない人のほうが多いということですか?

藤井先生そのとおりです。埼玉県は40市・22町・1村で、2つ目の補助金が使えるのは22の町と1つの村にお住まいの方だけです。市にお住まいの方は、1つ目の相談窓口(政令市・中核市の4市を除く)は使えても、2つ目の補助金は対象外になります。まずこの違いをはっきりさせてから、それぞれの中身を順番に見ていきましょう。
埼玉県の「共同親権相談支援事業」ってどんな制度?

みさきそもそも、なんでこのタイミングで相談窓口ができたんですか?
県の説明(原文)
「令和8年4月に施行された民法改正により、離婚後も父母双方が親権を持つことが可能となる『共同親権制度』や父母間の取決めが無くても養育費請求が可能となる『法定養育費』、公正証書等が無くても差押え可能な『先取特権』などが導入されました。」

藤井先生この民法改正に合わせて、埼玉県が令和8年度に新しく始めたのが「共同親権相談支援事業」です。実施しているのは埼玉県で、実際の相談・申請の窓口は、県から委託を受けた公益財団法人埼玉県ひとり親福祉連合会になります。令和8年度に始まったばかりの新しい事業なので、まだ知らない方も多いと思います。

みさきなるほど、法律が変わったタイミングに合わせてできた窓口なんですね。母子家庭でも父子家庭でも使えますか?

藤井先生はい、母子家庭・父子家庭(シングルマザー・シングルファーザー)のどちらも対象です。次は、さっきお伝えした「対象地域の違い」を、もう少し詳しく見ていきましょう。
お住まいが「市」か「町・村」かで、使える支援が変わります

藤井先生ここが一番大事なところなので、表で整理しますね。


みさきつまり、町村にお住まいの方は両方使えて、さいたま市・川越市・川口市・越谷市にお住まいの方はどちらも使えない、それ以外の市にお住まいの方は相談窓口だけ使える、ということですね。

藤井先生そのとおりです。県のページには、養育費相談と法律相談について「政令市・中核市にお住いの方は、各市で独自に開催している相談事業をご利用ください」という案内があります。共同親権の相談についても、まずはお住まいの市の子育て支援担当窓口に問い合わせてみてください。次は、それぞれの支援の中身を詳しく見ていきましょう。まずは相談窓口からです。
共同親権等相談窓口 — 何を相談できるか

みさき相談窓口では、具体的にどんなことを相談できるんですか?
県の説明(原文)
「共同親権制度の導入や離婚制度に関する相談について、電話やメールで専任の相談員が対応します。また、共同親権全般に関する弁護士相談も、月に2回程度行います。」

藤井先生想定されている相談の一例としては、「DVなどを理由に離婚したひとり親の方が、離婚した相手(前の夫や前の妻)から共同親権を求められたときに、どう対応すればいいか」というような場面が挙げられています。相談は電話・メールで無料、弁護士への相談も月2回程度のペースで用意されています。こちらは対面での相談で、会場は埼玉県浦和合同庁舎(北浦和駅西口から徒歩10分)、時間は原則16時00分から16時50分までの50分間です。

みさきどういう場面を想定した相談窓口なんでしょうか。

藤井先生県が想定している例として挙げているのは、DVなどを理由に離婚して単独親権者になった方のところに、離婚した相手(前の夫や前の妻)から「共同親権に変更したい」という申し立てが家庭裁判所にあった、という場面です。急に家庭裁判所から連絡が来ると、何をどう対応すればいいか分からず不安になりますよね。そういうときに、まず専任の相談員に電話やメールで相談できる窓口として作られています。

みさきそれは心強いです。私の友達にも、離婚した相手から急に連絡が来て不安になっている人がいます。申し込み方法はどうなっていますか?

藤井先生専用の申込フォームから申し込む形になっています。相談の方法は、弁護士との対面相談(50分程度)・メール相談・電話相談(30分程度)の3つです。弁護士相談と電話相談は事前予約制で、電話相談はフォームで申し込んだあと、ご自身から048-824-4330へかける流れになります。受付時間は平日(月~金)の10時から16時までです。弁護士相談を希望する場合は、県が公開している弁護士相談日程表を見て希望日を伝えます。提出書類は住所を確認できる書類だけなので、必要書類はシンプルです。

藤井先生相談窓口については、所得に関する要件は県のページに書かれていません。政令市・中核市を除く埼玉県内在住のひとり親世帯であれば相談できます。ここまでが「相談窓口」の話でした。次は、お金が関わる「養育費確保(差押え等)支援」を見ていきましょう。
養育費確保(差押え等)支援 — 補助の中身

みさきこっちは町村にお住まいの方だけが対象なんですよね。具体的にはどんな補助なんですか?

藤井先生まず対象になる要件からです。県のページにはこう書かれています。
県の説明(原文)
「埼玉県内町村在住で交付申請時にひとり親であり、次の要件をすべて満たす方」

みさき3つ目の「過去に同様の事業を利用していないこと」って、どういう意味ですか?

藤井先生一度この補助金を使ったことがある方は、もう一度は使えないということです。申請者1人につき、1回限りの補助金と考えておいてください。

みさき「差押え等の手続費用を自己負担していること」ってことは、まず自分でお金を払ってから申請する形なんですか?

藤井先生そのとおりです。この補助金は事前申請ではなく、先に弁護士相談費用や強制執行の手続き費用を自分で支払い、その領収書をもとに申請する後払い(精算払い)の補助金です。だから、支払った分の領収書は必ず取っておいてください。補助の中身は大きく2つに分かれます。


みさき弁護士相談費用と、強制執行の費用の2つなんですね。

藤井先生はい。1つ目は養育費の差押えに関する弁護士相談費用で、1回あたり上限5,000円まで、3回まで補助されます。ただし対象になるのは相談料だけで、弁護士に依頼したときの着手金や、成功したときの報酬金は対象外です。2つ目は、実際に強制執行(差押え)の手続きに進んだときにかかる経費です。強制執行費用は上限150,000円まで補助されます。

みさきそもそも「強制執行」って何をすることなんですか?

藤井先生簡単に言うと、養育費を払ってもらえないときに、裁判所を通じて相手の給料や預金口座などを差し押さえ、そこから養育費を回収する手続きのことです。この手続きには弁護士費用や裁判所へ納める収入印紙代など、いろいろな費用がかかります。それを補助してくれるのが、2つ目の「強制執行に要する経費」です。

みさきその上限150,000円の中には何が含まれるんですか?

藤井先生ここでも同じ注意点があって、弁護士等委任費用のうち、報酬金や成功報酬は対象外です。着手金までが対象、というイメージですね。

みさき所得制限はどうですか?私、パート事務で年収180万円くらいなんですけど。

藤井先生養育費確保(差押え等)支援についても、県のページや申請書に所得に関する記載はありません。児童扶養手当を受けていない方でも、ひとり親であることを証明できれば申請できます。

みさきそうなんですね。ちなみに、この補助金って公正証書を作る費用とか、養育費を保証してくれる会社に払う保証料とかも対象になるんですか?

藤井先生いいえ、そこは対象外です。この補助金には、公正証書の作成費用の補助や、養育費保証契約の保証料の補助はありません。補助の対象になっているのは、養育費の差押えに関する弁護士相談費用と、強制執行の手続きにかかる費用の2つだけです。次は、実際に申請するときの流れを見ていきましょう。
申請の流れ

藤井先生養育費確保(差押え等)支援は、先にお伝えしたとおり後払いの補助金なので、支払いのタイミングに注意してください。
ステップ
- 弁護士相談や強制執行の手続きにかかった費用を、まず自分で支払う(領収書は必ず保管する)
- 申請の前に、公益財団法人埼玉県ひとり親福祉連合会(048-824-4330)へ電話で相談する
- 下の「必要書類」の表を見て書類をそろえ、申請書(様式第1号)に記入する
- 申請書と必要書類を、公益財団法人埼玉県ひとり親福祉連合会へ郵送する
- 交付決定後、補助金が支払われる

みさき領収書を先に取っておかないといけないんですね。うっかり捨てちゃいそうです。

藤井先生そうなんです。郵便局や官公署が発行する領収書やレシートは、費用を証明する書類として認められませんので、弁護士事務所などから発行された正式な領収書を保管しておいてください。共同親権等相談窓口のほうは、これとは別で、専用の申込フォームから申し込むだけなので手続きはシンプルです。次は必要書類を具体的に見ていきましょう。
必要書類

みさき養育費確保(差押え等)支援のほうは、何を用意すればいいですか?

藤井先生大きく3種類に分かれます。申請の前に、この一覧で確認しておいてください。

みさき「ひとり親であることの証明書類」のところ、公正証書の写しでもいいんですね。すでに公正証書を作っている人でも申請できるんですか?

藤井先生できます。この補助金は公正証書の作成費用そのものは対象外ですが、すでに公正証書を作っている方が、それでも養育費が払われず差押え(強制執行)が必要になった場合は、この補助金の対象になります。共同親権等相談窓口のほうの必要書類は、住所を確認できる書類だけです。次は、間違えやすい注意点を確認しておきましょう。
母子・父子福祉センターの無料法律相談も利用できます

みさき共同親権のことだけじゃなくて、離婚全般について弁護士さんに相談したいときは、他に窓口はないんですか?

藤井先生あります。埼玉県は母子・父子福祉センターで、離婚を考えている方やひとり親家庭の方を対象にした弁護士による無料法律相談を年30回開催しています。共同親権等相談窓口の弁護士相談(月2回程度)とは別に用意されている窓口です。

みさき無料なのは助かります。予約とか、時間はどうなっていますか?

藤井先生時間は13時30分から16時00分まで、1人あたり40分です。費用は無料。土曜日・日曜日開催の回には無料の託児がついています(要予約)ので、お子さんを連れて行きにくい方でも利用しやすくなっています。ただし完全予約制なので、お住まいの地域を担当する母子・父子福祉センターに、まず電話で予約してください。

みさき担当のセンターって、住んでいる場所によって違うんですか?

藤井先生はい、担当地域ごとに窓口が分かれています。まとめておきますね。

みさきさいたま市・川越市・越谷市・川口市は市の窓口に電話すればいいんですね。それ以外の市町村は、地域ごとの福祉センターに電話する、と。

藤井先生そのとおりです。ただし、さいたま市・川越市・川口市・越谷市にお住まいの方について、県のページは「各市で独自に開催している法律相談をご利用ください」と案内しています。県の法律相談とは別に、各市が独自に開催しているものなので、日程や1回あたりの時間、託児があるかどうかは市によって異なります。上の表の窓口に電話して確認してください。それでは最後に、申請や利用にあたっての注意点をまとめます。
注意点
市にお住まいの方は、補助金(差押え支援)は対象外です
埼玉県内の市にお住まいの方は、政令市・中核市を除けば共同親権等相談窓口は利用できますが、養育費確保(差押え等)支援の補助金は対象外です。お住まいの市が独自に養育費の支援を行っている場合があるので、市役所の子育て支援担当窓口で確認してください。
対象にならない費用がある点に注意
弁護士に関する費用は、相談料と着手金までが対象で、成功したときの報酬金や成功報酬は対象になりません。また、支払いを証明する領収書として、郵便局や官公署が発行する領収書・レシートは認められません。申請書は「弁護士相談費用」と「強制執行経費」のどちらを申請するかをチェックする形になっているので、どちらの費用の領収書が必要かは、事前相談のときに窓口へ確認してください。

藤井先生そこは正直にお伝えしますが、県の公式ページや申請書には申請期限についての記載が確認できませんでした。ただし、窓口である公益財団法人埼玉県ひとり親福祉連合会は「申請にあたっては、事前にご相談くださるようお願いいたします」と案内しています。申請の前に一度電話で相談することになっているので、そのときに期限の有無もあわせて確認しておくと安心です。
養育費確保(差押え等)支援・共同親権等相談窓口の基本情報まとめ
併用できる他の支援制度

藤井先生このほかにも、お住まいの市区町村が独自に養育費の支援を行っている場合があります。市役所・区役所の子育て支援担当窓口で、市区町村独自の制度がないかもあわせて確認してください。

藤井先生全国共通の制度もあわせて知っておくと安心です。養育費をこれから取り決める段階なら、法務省が公開している合意書のひな形を使った
養育費の取決めの支援が参考になります。まだ取り決めをしていない方は、先にそちらで書面を整えておくと、将来もし支払いが止まったときにこの埼玉県の補助金を使いやすくなります。また、ひとり親家庭の生活費の土台になる
児童扶養手当も、あわせて確認しておくとよいでしょう。埼玉県のひとり親向けの制度全体は、
埼玉県のひとり親支援制度にまとめてあります。

みさき相談窓口のほうも、養育費確保(差押え等)支援のほうも、令和8年度に始まったばかりなんですよね。今後もずっと続く制度なんでしょうか?

藤井先生そこは正直にお伝えすると、県の公式ページには今後の継続についての記載はありません。年度ごとの予算で運営されている事業だと考えられるので、来年度以降の詳しい取り扱いは、公益財団法人埼玉県ひとり親福祉連合会や埼玉県福祉部こども政策課に直接確認するのが確実です。

みさき弁護士費用って、補助金が支払われるまでの間、一度は自分で立て替えないといけないんですよね。手元にお金がないときはどうすればいいですか?

藤井先生そういうときのために、
母子父子寡婦福祉資金貸付金という国の貸付制度もあります。無利子または低利子でまとまったお金を借りられる制度なので、弁護士費用を立て替える間のつなぎとして検討してみてください。それでは最後に、公式の問い合わせ先をまとめておきます。
公式情報・問い合わせ先
問い合わせ先
公益財団法人埼玉県ひとり親福祉連合会(養育費確保(差押え等)支援・共同親権等相談窓口の窓口)
住所:〒330-0074 埼玉県さいたま市浦和区北浦和5-6-5 埼玉県浦和合同庁舎内
電話:048-824-4330
埼玉県福祉部こども政策課 手当・ひとり親支援担当(制度全体の担当課)
電話:048-830-3204
公式ページ:養育費の確保支援について(埼玉県)
※本記事は令和8年9月時点の公表情報をもとに作成しています。共同親権等相談窓口・養育費確保(差押え等)支援の対象要件、補助額、必要書類などは、個別の状況により異なる場合があります。最新情報は、公益財団法人埼玉県ひとり親福祉連合会または埼玉県福祉部こども政策課の窓口でご確認ください。