困る前から無料相談|生活困窮者自立支援制度は支援6種類【令和8年度】
生活が苦しくなってきたと感じたら、深刻になる前に無料で相談できる制度です。
サービスすべての子育て家庭が対象 公開・ 更新

みさき先生、ちょっと相談していいですか。この前、ママ友から「生活困窮者自立支援」っていう制度があるって聞いたんです。パートの収入だけだと正直ギリギリで、貯金もほとんどできていなくて。でも、これって本当にどうしようもなくなった人が使うものですよね?私はまだそこまでではない気がして、相談していいのか迷っています。

藤井先生それ、実はよくある誤解なんです。結論から言うと、この制度は深刻になる前に使ってほしい制度です。厚生労働省の説明でも、「課題が複雑化・深刻化する前に自立の促進を図ることを目指しています」とはっきり書かれています。「もうどうしようもない」状態になってから使うものではなく、「なんとなく不安」「このままだと苦しくなりそう」という段階で相談できる窓口なんです。

みさきそうなんですね。「本当にどうしようもなくなってから」じゃなくて、むしろ早いほうがいいってことですか。

藤井先生そのとおりです。もう一つ、最初にお伝えしておきたいことがあります。この制度は、ひとり親家庭専用の制度ではありません。法律上の「生活困窮者」にあてはまれば、単身の方、高齢の方、子育て中の
世帯まで対象になります。所得の高さだけを理由に対象外になることはありませんが、経済的に困窮している状態であることは前提になります。ただ、みさきさんのようにひとり親で働きながら家計をやりくりしている方にとっては、後で紹介する住居確保給付金や、児童扶養手当のような他の制度ともつながる、いわば「困りごとの入り口」になる制度です。今日はそこを中心にお話ししますね。

藤井先生順番に説明していきます。まずは制度の全体像から見ていきましょう。
生活困窮者自立支援制度とは

藤井先生この制度は、生活困窮者自立支援法という法律にもとづいています。厚生労働省は、この制度の位置づけについて次のように説明しています。
制度の位置づけ(厚生労働省の説明)
本制度は、第1のセーフティネットである社会保険や労働保険、第3のセーフティネットである生活保護の間の第2のセーフティネットとして、重層的なセーフティネットを構築し、生活に困窮する方に対し、生活保護に至る前の段階で、自立に向けた支援を行うことによって、課題が複雑化・深刻化する前に自立の促進を図ることを目指しています。

みさき「生活保護の一歩手前」っていう位置づけなんですね。でも、これって「生活保護を受けたくない人」のための制度、っていうことなんでしょうか。

藤井先生そこも誤解されやすいところです。生活保護を受けたくない人向けの制度ではありません。生活保護に代わるもの、対立するものではなく、生活保護よりも手前の段階で使える網、という位置づけです。実際に相談してみた結果、「今の状況なら生活保護の申請のほうが合っている」と分かれば、その手続きにつなげてもらえます。逆に、生活保護を利用しながら、この制度の一部の支援を引き続き使えるケースもあります。この関係については、後ほど詳しくお話ししますね。


みさき3段階のうちの真ん中、というイメージなんですね。じゃあ、実際にこの制度を使うと、何をしてもらえるんですか?

藤井先生まずは中心となる「自立相談支援事業」から見ていきましょう。
自立相談支援事業でできること

藤井先生生活困窮者自立支援制度の中心にあるのが、自立相談支援事業です。お住まいの自治体の窓口に相談すると、専門の支援員が、仕事のこと、住まいのこと、家計のこと、子どものことなど、抱えている困りごとを整理してくれます。厚生労働省の制度紹介チラシ「生活にお困りの方のための支援制度があります」では、この流れを次のように説明しています。
自立相談支援でしてもらえること
各地域の窓口で、生活の困りごとや不安を支援員に話すと、相談者の方の希望を尊重しながら、目標や支援内容を支援員が一緒に考え、あなただけの支援プランを作ります。支援プランをもとに、必要な事業やサービスにつなぎます。相談から支援までの流れは**「相談無料・秘密厳守」**と示されています。

みさき「相談無料・秘密厳守」って、はっきり書いてあるんですね。ちょっと安心しました。

藤井先生そうなんです。実際に豊島区の窓口「くらし・しごと相談支援センター」の案内にも、「相談は無料です。秘密は厳守いたします」と明記されています。ここで一つ確認しておきたいのですが、「相談すると、自動的に生活保護に回されるんですよね?」と心配される方も多いんです。

みさきそれ、まさに聞きたかったことです。相談したら勝手に話が進んじゃうんじゃないかって、ちょっと身構えていました。

藤井先生自動的に生活保護の申請をさせられることはありません。さきほどの引用のとおり、「相談者の方の希望を尊重しながら」支援プランを一緒に考える、というのが制度の基本姿勢です。支援プランをどうするかは、相談者の同意を得たうえで決められます。(生命や身体を守るために必要で本人の同意を得ることが難しい場合に限り、法律で定められた枠組みで関係機関が必要最小限の情報を共有することがあります。)まずは今の状況を話してみて、どんな支援が合っているかを一緒に整理する、という段階だと考えてもらえれば大丈夫です。

みさきそれなら、思っていたよりハードルが低い気がします。窓口の場所は、市役所とかにあるんですか?

藤井先生窓口は「自立相談支援機関」と呼ばれますが、実際の名称は
自治体ごとにバラバラです。たとえば広島市では「広島市くらしサポートセンター」、豊島区では「くらし・しごと相談支援センター」という名称で運営されています。お住まいの自治体の福祉担当課が窓口になっている場合もあれば、社会福祉協議会やNPOなどに委託されている場合もあります。「自立相談支援機関」という名前で探しても見つからないことがあるので、「(お住まいの市区町村名)+生活困窮+相談」のようなキーワードで検索するか、市区町村の福祉担当課に問い合わせるのが確実です。当サイトでは、
東京都のお金・仕事・住まいの相談窓口と
千葉県のお金・仕事・住まいの相談窓口を市区町村ごとにまとめています。

みさき名前が全国共通じゃないなら、まず自分の市がどこに窓口を置いているか調べるところからですね。相談したら、具体的にどんな支援につながるんですか?

藤井先生自立相談支援は、いわば入り口です。そこから枝分かれして、いくつかの支援メニューにつながっていきます。次は、その全体像を見ていきましょう。
自立相談支援から広がる6つの支援

藤井先生自立相談支援のほかに、5つの支援があります。ここで大事なのは、すべての自治体が全部そろえているわけではない、ということです。
※「自治体による」の支援は、実施していない自治体があります。使えるかどうかは、お住まいの自治体の自立相談支援機関で確認してください。

みさき相談と住居確保給付金は、どの自治体でも必ずあるということですか。

藤井先生はい。この2つはどの自治体にもあります。残りの4つは、やっている自治体とやっていない自治体があります。相談のときに「うちの市ではどれが使えますか」と聞けば、その場で教えてもらえます。

みさき住居確保給付金って、前に別の記事で読んだ気がします。これも、この制度の中の一つなんですか。

藤井先生そうです。
住居確保給付金は、離職や収入減少で家賃が払えなくなったときに、原則3か月(最長9か月)、家賃にあたるお金を支給してもらえる制度で、生活困窮者自立支援制度の一つです。このほか、家賃の安い住宅へ移るための転居費用を支給するしくみもあります。詳しい支給額や条件はそちらの記事にまとめているので、家賃のことで困っている場合はあわせて読んでみてください。窓口は同じ自立相談支援機関なので、別々に探し直す必要はありません。
「住居確保給付金」と「居住支援事業」を混同しないための注意点
どちらも「住まい」に関する事業ですが、対象になる状況が違います。
- 住居確保給付金: すでに賃貸住宅に住んでいる方が、離職や収入減少で家賃を払えなくなりそうなときに、家賃にあたるお金を支給する仕組みです。令和7年4月からは、収入が大きく減った方が家計を立て直すために家賃の安い住宅へ移る必要がある場合に、転居に要する費用を支給するしくみも加わりました(上限は原則、転居先の市町村の住宅扶助基準額の3倍です)。
- 居住支援事業: 住居を持たない方や、ネットカフェ宿泊が続いている方に一時的な宿泊場所や食事を提供する仕組みと、今の住まいで孤立している方を訪問して支える仕組みの2つがあります。
「家賃の補助がほしい」場合、「家賃の安い家に移りたい」場合、「今夜の寝る場所がない」場合とでは案内される支援が異なるので、相談のときは今の住まいの状況をそのまま伝えてください。

みさきなるほど、一つの窓口でいろいろな支援にまとめてつながるんですね。就労準備支援とか家計改善支援は、具体的にどんなことをしてもらえるんですか。

藤井先生就労準備支援事業は、「社会に出ることに不安がある」「他人とうまくコミュニケーションできない」といった理由ですぐに仕事に就くのが難しい方向けに、生活リズムを整えたり、就労体験の機会を提供したりする支援です。利用できる期間は、生活困窮者自立支援法施行規則で「一年を超えない期間」と定められています。ただし同じ規則に、心身や生活の状況をふまえて自治体が必要と認める場合は、自治体が定める期間にできるというただし書きもあります。家計改善支援事業は、家計表を作って収入・支出の状況を「見える化」し、税金や公共料金などの滞納を解消していく支援です。相談者が自分で家計を管理できるようになることを目指しますが、必要に応じて生活福祉資金貸付制度のような貸付のあっせんも行います。


みさき貸付のあっせんもしてもらえるんですね。ちなみに、就労訓練みたいなものもあるって聞いたことがあるんですが。

藤井先生それは「認定就労訓練事業」、いわゆる中間的就労と呼ばれる仕組みですね。すぐに一般企業で働くのが難しい方に、その方に合わせた働き方ができる場が用意されていて、窓口でこうした働き方を紹介してもらえることがあります。ここまでの6つの事業とは少し性質が違います。

みさき一口に「自立相談支援」と言っても、中身はかなり幅があるんですね。ここまでで、生活保護とはやっぱり別の制度、っていうことは分かってきました。でも、生活保護を受け始めたら、この制度とはもう関係なくなるんですよね?

藤井先生そこも大事な確認ポイントなので、次の章で詳しくお話ししますね。
生活保護との違いとつながり

藤井先生さきほどの質問にお答えします。生活保護を受け始めても、この制度と関係がなくなるわけではありません。就労準備支援事業・家計改善支援事業と、居住支援事業のうち訪問による見守り・生活支援は、生活保護を受けている方も要件を満たせば使えます。

みさきそうなんですね。じゃあ、生活保護を申請するかどうか迷っている段階の相談は、どっちの窓口に行けばいいんですか。

藤井先生まずは自立相談支援機関に相談するのがおすすめです。生活困窮者自立支援法が対象とする「生活困窮者」は、まだ生活保護を受けていない方が基本になります。相談した結果、収入や資産の状況から生活保護のほうが適切だと判断されれば、
生活保護制度の申請につないでもらえます。逆に、生活保護の要件までは満たさないけれど生活の立て直しが必要、という場合は、この制度の中の支援を組み合わせて使っていくことになります。どちらが自分に合っているか自分で判断がつかなくても、相談してみれば整理してもらえます。

みさき「どちらか一方だけ」って決めつけずに、まず相談してみればいいんですね。生活保護のほうが、最後の手段っていうイメージがあったんですが。

藤井先生生活保護についても、「最後の手段」というより、収入や資産が国の基準に届かないときに使える権利として位置づけられています。この制度と生活保護は、対立するものというより、生活の状況に応じて行き来できる、地続きの仕組みだと考えてもらうのが正確です。

みさき「対立ではなく地続き」、腑に落ちました。じゃあ実際に相談するとなったら、どんな流れで進むんですか?

藤井先生次は、相談から支援が始まるまでの流れを見ていきましょう。
相談から支援が始まるまでの流れ
ステップ
- 窓口を確認する: お住まいの市区町村の自立相談支援機関を確認します。東京都・千葉県にお住まいの場合は、東京都・千葉県の市区町村ごとの窓口名と電話番号をまとめています。それ以外の地域では、市区町村の福祉担当課に問い合わせるか、一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワークの「自立相談支援機関 相談窓口一覧」で調べられます。
- 相談する: 電話・窓口・メールなどで相談します。今の生活の状況や困りごとを、支援員に話します。窓口まで行くのが難しい場合は、まず電話やメールで問い合わせることもできます。
- 状況を整理してもらう: 支援員と一緒に、生活の状況や課題を分析し、自立に向けた目標や必要な支援を考えます。
- 支援プランを作る: 相談者の希望を尊重しながら、その人に合わせた「支援プラン」が一緒に作られます。ここで、住居確保給付金や就労準備支援事業など、具体的にどの支援を使うかが決まります。
- 支援を受ける: 支援プランにもとづいて、各種の支援サービスが提供されます。
- 定期的な確認(モニタリング): プランを作って終わりではなく、支援員が定期的に状況を確認し、必要に応じてプランを見直します。

みさきプランを作って終わりじゃなくて、その後も見てもらえるんですね。それなら、途中で状況が変わっても相談しやすそうです。

藤井先生そうなんです。相談だけで終わってもかまいませんし、それも含めてこの制度を使っている方はたくさんいます。「相談してみる」だけで大丈夫です。

みさき相談だけでもいいと思うと、気が楽です。最後に、費用のことをもう少しはっきり知っておきたいです。

藤井先生大事なポイントなので、章を分けてお話ししますね。
費用について正しく知る

藤井先生ここまで「相談は無料」とお伝えしてきましたが、この「無料」がどこまでの範囲を指すのか、混同しやすいところなので整理しておきます。
「無料」の範囲を混同しないための注意点
- 相談そのものは無料です。何度相談しても、相談料はかかりません。
- 相談の結果つながる支援のうち、住居確保給付金は返済不要のお金です。もらったお金を後で返す必要はありません(不正受給があった場合を除きます)。
- 一方、家計改善支援事業から案内されることがある生活福祉資金貸付制度は「貸付」であり、借りたお金は返済が必要です。あっせんしてもらえること自体は無料ですが、貸付そのものは無料のお金ではありません。
- 就労準備支援事業・子どもの学習・生活支援事業などの支援サービスに利用者負担があるかどうかは、自治体によって扱いが異なる場合があります。無料と決めつけず、相談の際に確認してください。

みさき「無料」の中にも、返さなくていいお金と、借りて返すお金が混ざっているんですね。ひとくくりにしないほうがいいんだ。

藤井先生そのとおりです。相談自体は気軽に利用してもらってよいのですが、その先で紹介される個別の支援については、それぞれ性質が違うということを覚えておいてください。分からないことは、支援員にその場で聞いてしまうのが一番確実です。

みさきよく分かりました。ここまでの内容を、最後に整理してもらえますか。

藤井先生もちろんです。まとめの表と、あわせて使える制度の順に見ていきましょう。よくある質問は、このページの下にまとめてあります。
生活困窮者自立支援制度(自立相談支援)の基本情報まとめ
併用できる他の支援制度

藤井先生生活困窮者自立支援制度は、単独で完結するものではなく、他の制度への入り口としての役割も持っています。代表的なつながり先を紹介します。
- 住居確保給付金: 生活困窮者自立支援制度の一つ。離職・収入減少で家賃が払えなくなったときに、原則3か月(最長9か月)、家賃にあたるお金を支給してもらえます。このほか、家賃の安い住宅へ移るための転居費用を支給するしくみもあります。自立相談支援機関が窓口になっています。
- 生活保護制度: 収入や資産が国の基準に届かない場合に使える制度。自立相談支援機関での相談の結果、生活保護のほうが適していると判断されれば、そちらの申請につなげてもらえます。生活保護を受けながら、就労準備支援事業・家計改善支援事業や、居住支援事業のうち訪問による見守り・生活支援を引き続き利用できる場合もあります。
- 生活福祉資金貸付制度: 都道府県の社会福祉協議会が窓口となる貸付制度で、家計改善支援事業からあっせんを受けられることがあります。返済が必要な貸付である点に注意してください。

みさき一つの窓口から、いろいろな制度に橋渡ししてもらえるんですね。最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか。
公式情報・問い合わせ先
問い合わせ先
お住まいの市区町村の自立相談支援機関(名称は自治体によって異なります。福祉担当課、社会福祉協議会、NPO法人などが窓口になっている場合があります)
※本記事は令和8年9月時点の公表情報をもとに作成しています。生活困窮者自立支援制度の相談窓口の名称、実施している事業の範囲、利用者負担の有無などは、個別の状況や市区町村によって異なります。最新情報は、お住まいの市区町村の自立相談支援機関でご確認ください。