遺族基礎年金とは|死別ひとり親家庭の年金を解説【令和8年度】

みさき
先生、実は去年の秋に夫を亡くしてしまって。小学生の子どもが二人いるんですが、生活のことを考えると眠れない夜もあって。何か使える制度はないのか調べていたら「遺族基礎年金」という言葉に行き着いたんです。
藤井先生
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者である方や、一定の受給資格期間を満たした方などが亡くなったときに、その方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給される年金です。みさきさんのように、死別でひとり親になったご家庭のための基礎的な保障ですよ。
みさき
死別、というところが気になりました。私の友人は離婚してひとり親なんですが、その場合はこの年金はもらえないんですか?
藤井先生
その通りです。遺族基礎年金は配偶者が亡くなった場合の制度で、離婚によるひとり親家庭は対象になりません。離婚された方が使える代表的な制度は児童扶養手当です。この記事では遺族基礎年金の仕組みを中心にお伝えしますが、離婚でひとり親になった方向けの案内も後半にまとめておきますね。
みさき
わかりました。母子家庭だけでなく、父子家庭の場合も対象になるんでしょうか。夫を亡くした私だけでなく、妻を亡くしたお父さんのケースも気になります。
藤井先生
対象になります。平成26年4月の制度改正で、それまで「子のある妻」に限られていた対象が「子のある配偶者」に広がり、妻を亡くした父子家庭も遺族基礎年金を受け取れるようになりました。母子家庭・父子家庭のどちらも同じ基準で判定されます。
みさき
それなら私と同じ立場のお父さんたちも安心ですね。まず制度の全体像から教えてもらえますか。

遺族基礎年金ってどんな制度?

藤井先生
ここではまず、遺族基礎年金がどんな仕組みの年金なのかを整理しますね。遺族基礎年金は国民年金の給付の一つで、亡くなった方に生計を維持されていた家族の生活を支えるための年金です。会社員や公務員だった方が亡くなった場合は、これに加えて遺族厚生年金が上乗せされることもありますが、この記事では基礎年金の部分に絞って解説します。
みさき
「生計を維持されていた」というのは、具体的にはどういう意味なんでしょうか。
藤井先生
亡くなった方の収入で暮らしていた、という状態を指します。原則として、亡くなった方と生計を同じくしていたことに加え、請求者の前年収入が850万円未満、または前年所得が655万5千円未満であることが必要です。別居していた場合でも、仕送りや健康保険上の扶養関係などから同一生計と認められることがあります。細かい基準は年金事務所の窓口で確認するのが確実です。
みさき
なるほど。誰が亡くなったときにこの年金が発生するのか、条件を詳しく知りたいです。

対象になるのは誰?(受給要件と対象者)

藤井先生
このセクションでは、亡くなった方の条件と、受け取る側の条件を分けて説明しますね。まず亡くなった方について、次の3つのいずれかに当てはまる必要があります
遺族基礎年金の受給要件(亡くなった方の条件)
  • 要件①: 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
  • 要件②: 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
  • 要件③: 老齢基礎年金の受給資格期間を満たした方が死亡したとき
みさき
3つのうちどれかに当てはまればいいんですね。次は、受け取る側の条件も知りたいです。
藤井先生
受け取れるのは、亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。ここでいう「子」には年齢の決まりがあります。
遺族基礎年金の対象になる「子」の範囲
  • 年齢要件: 18歳になった年度の3月31日までの子
  • 障害がある場合: 20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子
  • 補足: 婚姻していないことが条件です
みさき
「18歳になった年度の3月31日まで」というのは、高校を卒業する年度末までという理解でいいでしょうか。
藤井先生
原則として18歳になった年度の3月31日までです。高校に在籍しているか、卒業したかではなく、年齢と年度で判定されます。18歳の誕生日で打ち切られるわけではない点は覚えておいてください。子どもが2人以上いれば、それぞれの子について年齢要件を満たしているかを確認します。
みさき
私の場合は子どもが二人とも18歳未満なので大丈夫そうです。ただ、保険料をちゃんと納めていないと受け取れないという話も聞いたことがあります。そこが少し不安です。

保険料納付要件

藤井先生
ここは大事なポイントなので詳しく説明しますね。亡くなった方について、死亡日の前日時点で保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、国民年金の加入期間の3分の2以上あることが必要です。
みさき
3分の2というと、けっこう厳しい条件のようにも聞こえます。未納期間があった場合はもうもらえないんでしょうか。
藤井先生
実は特例があります。死亡日が令和18年3月末日までで、亡くなった方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい、という緩和されたルールが使えます。長期間の未納があっても、直近1年がきちんと納付・免除されていれば対象になり得るということです。
みさき
それなら少し安心しました。うちは夫が会社員だったので厚生年金にも入っていましたが、そういう場合の保険料納付要件はどうなるんでしょうか。
藤井先生
厚生年金に加入していた期間は国民年金の被保険者期間としても扱われるので、会社員・公務員だった方が亡くなったケースでも同じ考え方で判定されます。ご自身のケースで納付要件を満たしているかどうかは、年金事務所で確認してもらうのが一番確実ですよ。
みさき
要件はわかりました。次はいよいよ、実際にいくらもらえるのかが気になります。

支給額はいくら?(令和8年度)

藤井先生
それでは支給額の話に入りましょう。まず全体のイメージを図でつかんでもらってから、正確な数字を見ていきますね。

遺族基礎年金の支給額イメージ(令和8年度・基本額と子の加算)

みさき
図を見ると、基本額に子どもの人数で加算が乗っていくんですね。正確な金額を教えてください。
藤井先生
遺族基礎年金は「基本額」に「子の加算額」を足した年額で計算されます。令和8年度(2026年度)4月分からの金額は次の通りです。
区分令和8年度の年額
基本額(昭和31年4月2日以後生まれ)847,300円
基本額(昭和31年4月1日以前生まれ)844,900円
子の加算額(1人目・2人目、1人あたり)243,800円
子の加算額(3人目以降、1人あたり)81,300円

※この年額は年金として支給される総額です。実際の振込は年6回に分けて行われます。

みさき
ということは、子ども二人がいる私の場合はどんな計算になるんでしょうか。
藤井先生
具体的に計算してみましょう。子ども1人の期間は基本額847,300円+加算243,800円で年額1,091,100円、子ども2人の期間はさらに243,800円が加わり年額1,334,900円になります。3人目以降は加算額が81,300円に下がる点も覚えておいてください。
遺族基礎年金の年額早見表(配偶者が受け取る場合・令和8年度)
  • 子1人: 年額1,091,100円(847,300円+243,800円)
  • 子2人: 年額1,334,900円(847,300円+243,800円×2)
  • 子3人: 年額1,416,200円(847,300円+243,800円×2+81,300円)
みさき
ざっくり月10万円前後というイメージですね。年金なので毎月ではなく、まとまった額で振り込まれるということですか。
藤井先生
公的年金は原則として年6回、偶数月15日に前2か月分がまとめて振り込まれます。15日が土曜・日曜・祝日にあたる場合は、その直前の平日が振込日になります。正確な日付は請求後に届く年金証書や年金機構からの通知で確認してください。
みさき
子が受け取る場合は計算が変わるという話も見かけたのですが。
藤井先生
そこは間違えやすいところなので正確に説明しますね。配偶者がおらず、子だけが受け取るときは、基本額847,300円に2人目以降の子の加算額を足した「世帯全体の年金額」を先に計算し、その合計額を受給権のある子の人数で割ります。子が2人であれば(847,300円+243,800円)÷2で1人あたり年額545,550円、子が3人であれば(847,300円+243,800円+81,300円)÷3で1人あたり年額390,800円になります。基本額だけを人数で割るのではない点に注意してください。
みさき
子どもの人数が多いほど、1人あたりの金額はむしろ下がっていくんですね。
藤井先生
そうなります。それともう一つ大事な条件があって、子のある配偶者が遺族基礎年金を受給している間や、子と生計を同じくする父または母がいる間は、原則として子には支給されません。子だけが単独で受け取れるのは、配偶者がいない場合や、配偶者の受給権が消滅した場合などに限られます。この記事は配偶者であるみさきさんのケースを中心に説明していますが、子のみが受給する場合の正確な金額は年金事務所で個別に計算してもらってください。
みさき
金額の全体像はつかめました。この年金と、離婚のひとり親がもらう児童扶養手当って、両方もらえるものなんでしょうか。

児童扶養手当との関係(併給調整に注意)

藤井先生
ここは死別のひとり親家庭にとって特に大事な注意点なので、じっくり説明しますね。児童扶養手当は、遺族基礎年金などの公的年金を受け取れる場合、そのままでは支給されません

遺族基礎年金と児童扶養手当の併給調整イメージ

みさき
え、そうなんですか。遺族基礎年金をもらったら、児童扶養手当は完全にゼロになってしまうということでしょうか。
藤井先生
全額ゼロになるとは限りません。公的年金の額が児童扶養手当の額より低い場合は、その差額分の児童扶養手当を受け取れます。逆に公的年金の額が児童扶養手当の額を上回っている場合は、児童扶養手当は支給停止になります。
児童扶養手当は自動的に差額支給されません
  • 重要: 遺族基礎年金を受けることになった場合は、市区町村の児童扶養手当担当窓口への届出・申請が必要です
  • 理由: 届出をしないままだと、差額があっても児童扶養手当が支給されない状態が続いてしまいます
  • 対応: 年金額だけで自己判断せず、必ず窓口で計算してもらってください
みさき
具体的にどちらの金額が高いかで、私が児童扶養手当をもらえるかどうかが変わるということですね。
藤井先生
そこは単純比較できないので気をつけてください。受給者が配偶者か子か、子の人数、公的年金の内訳などによって計算方法が異なるため、年金の世帯年額と児童扶養手当の総額を単純に比較することはできません。差額が生じるかどうかは世帯ごとに条件が変わるので、市区町村の児童扶養手当担当窓口に年金額を伝えて、実際に計算してもらう必要があります。
みさき
自分で判断せず、窓口に相談したほうがよさそうですね。もし児童扶養手当が全額停止になった場合、ひとり親家庭等医療費助成なども使えなくなってしまうんでしょうか。
藤井先生
そこは制度ごとに判定基準が別なので、児童扶養手当が停止になったからといって自動的に他の制度も使えなくなるとは限りません。ひとり親家庭等医療費助成制度は児童扶養手当とは別の所得基準で判定されるので、対象になるかどうかはお住まいの市区町村の窓口で個別に確認してください。詳しくはひとり親家庭等医療費助成制度の記事も参考にしてください。手当の話が出たところで、次は実際の申請に必要な書類を見ていきましょう。

必要書類

藤井先生
遺族基礎年金の請求には、いくつかの書類が必要です。必要書類は、死亡の状況や請求者の状況、加入していた年金制度によって異なります。以下は一例です。窓口へ行く前に、必ずお住まいの市区町村または年金事務所へ確認してください。
書類内容
年金請求書様式第108号(国民年金遺族基礎年金用)
基礎年金番号がわかる書類基礎年金番号通知書、年金手帳、年金証書など
戸籍関係書類戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
住民票世帯全員の住民票の写し
死亡の証明死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
振込先請求者本人名義の金融機関の通帳等
収入確認書類請求者および子の収入がわかる書類
みさき
年金手帳って、もう発行されていないと聞いたことがあるんですが。
藤井先生
そうなんです。年金手帳は2022年4月以降新規に発行されていないため、お持ちでない方も基礎年金番号通知書や年金証書があれば大丈夫です。また、戸籍謄本や住民票、所得証明書などは、年金請求書にマイナンバーを記入することで添付を省略できる場合があります。子が義務教育終了前の場合は、通常、子の収入確認書類は不要です。窓口で案内される内容にあわせて準備を進めてください。
みさき
交通事故など、第三者の行為で亡くなった場合は書類が増えるとも聞きました。
藤井先生
第三者の行為が原因で亡くなった場合は、第三者行為事故状況届や事故を確認できる書類、損害賠償に関する書類なども追加で必要になります。該当する場合は、窓口で必要書類の案内を受けてから準備を進めるとスムーズです。
みさき
書類はどこに提出すればいいんでしょうか。
藤井先生
基本的には、お住まいの市区町村役場の窓口に提出します。ただし、亡くなった方が国民年金の第3号被保険者(会社員・公務員に扶養されていた配偶者)だった期間中に亡くなった場合は、年金事務所または街角の年金相談センターが窓口になります。どちらに出せばいいか迷ったら、まず年金事務所に電話で確認すると確実です。書類が揃ったら、次は申請の流れを見ていきましょう。
お問い合わせ先
  • 市区町村役場(住民課・年金担当窓口): 基本的な提出先
  • 年金事務所・街角の年金相談センター: 第3号被保険者期間中の死亡など、市区町村では対応できないケースの窓口
  • 日本年金機構 ねんきんダイヤル: どこに相談すればよいか迷ったときの電話相談窓口

申請の流れ

藤井先生
申請の大まかな流れを整理しますね。
ステップ
  1. 年金事務所・市区町村へ相談: まずは基礎年金番号通知書、年金手帳、年金証書など基礎年金番号がわかるものを持って、年金事務所または市区町村の窓口に相談します
  2. 必要書類を準備: 案内された書類(戸籍謄本、住民票、死亡診断書のコピーなど)を集めます
  3. 年金請求書を記入・提出: 様式第108号に必要事項を記入し、必要書類とあわせて窓口へ提出します
  4. 審査: 提出後、日本年金機構で保険料納付要件や生計維持関係などが審査されます
  5. 年金証書・通知書の受け取り: 審査が終わると年金証書と年金決定通知書が届きます
  6. 年金の振込開始: 決定後、指定した口座への振込が始まります
みさき
審査にはどれくらい時間がかかるものなんでしょうか。
藤井先生
審査にかかる期間は書類の状況や時期によって幅があります。目安の期間は年金事務所の窓口で確認するのが確実です。生活費が心配な間は、他の支援制度もあわせて相談してみてくださいね。
みさき
早めに動いたほうがよさそうですね。逆に、注意しないと年金がもらえなくなったり止まったりすることってあるんでしょうか。

注意点(支給停止・失権になるケース)

藤井先生
ここではうっかり見落としがちな注意点をまとめます。まず請求を長期間行わないと、5年以上前の年金について時効により受け取れなくなる可能性があるという点です。
請求の時効に注意
  • 原則: 年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効によって消滅します
  • 取扱いは個別に異なる: 時効の取扱いは、受給権が発生した時期や請求が遅れた事情によって異なります
  • 自己判断は禁物: 「死亡から5年を過ぎたからすべて請求できない」と自己判断せず、年金事務所へ相談してください
  • 例外: やむを得ない事情があった場合などには例外的な取扱いもあるため、未請求期間が長い場合も年金事務所へ相談してください
みさき
5年というと余裕があるようにも思えますが、忙しさに紛れて忘れてしまいそうです。請求が遅れるほど不利になるなら、早めに手続きしておいた方が安心ですね。他に気をつけることはありますか。
藤井先生
再婚した場合(届出のない内縁関係を含みます)は、配偶者としての受給権は失われます子の養子縁組については、誰の養子になるかによって失権するかどうかが異なります。子の養子縁組を予定している場合は、手続きの前に年金事務所へ確認してください。子自身が婚姻した場合も資格を失います。状況が変わったときは、原則として14日以内に年金事務所または市区町村へ受給権者死亡届(失権届)を提出することが必要です。届け出を忘れると、後で過払い分の返還を求められることもあるので注意してください。
みさき
状況が変わったら黙っていないで、必ず連絡するということですね。ここまでの内容を、まとめの表で振り返らせてもらえますか。

基本情報まとめ

藤井先生
では最後に、基本情報を表にまとめておきますね。
項目内容
制度名遺族基礎年金
対象死別によるひとり親家庭(生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」)
対象外離婚によるひとり親家庭(児童扶養手当等が対象)
生計維持の目安請求者の前年収入850万円未満、または前年所得655万5千円未満
令和8年度の基本額年額847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)/844,900円(昭和31年4月1日以前生まれ)
子の加算額1人目・2人目 各243,800円、3人目以降 各81,300円
子だけが受け取る場合基本額+加算額の世帯合計を、受給権のある子の人数で割って計算(配偶者受給中や生計同一の父母がいる間は子には不支給)
保険料納付要件死亡日前日時点で納付済期間(免除期間含む)が加入期間の3分の2以上、または直近1年未納なし(特例)
支払日原則として偶数月15日(土日祝の場合は直前の平日)に前2か月分
請求先市区町村役場、または年金事務所・街角の年金相談センター
時効権利発生から5年(取扱いは事情により異なるため自己判断せず年金事務所へ相談)
公式ページhttps://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html
みさき
これを見返せば、窓口に行く前の準備がしやすそうです。遺族基礎年金以外に、私のような立場で使える制度って他にもありますか。

併用できる他の支援制度

藤井先生
遺族基礎年金だけで生活の全てをまかなうのは難しいことも多いので、あわせて検討できる制度を紹介しますね。死別・離婚を問わず、ひとり親家庭全体を対象にした制度もたくさんあります
遺族基礎年金とあわせて検討したい制度
  • ひとり親家庭等医療費助成制度: 医療費の自己負担を軽減する制度。児童扶養手当が年金との調整で停止していても使える場合があります。詳しくはひとり親家庭等医療費助成制度
  • 高等職業訓練促進給付金: 資格取得のために学校に通う間の生活費を支援する制度。詳しくは高等職業訓練促進給付金
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金: 就学や生活資金を借りられる貸付制度。詳しくは母子父子寡婦福祉資金貸付金
  • ひとり親控除: 所得税・住民税の控除。死別・離婚どちらのひとり親も対象。詳しくはひとり親控除
みさき
こんなに種類があるとは知りませんでした。私も一つずつ確認してみます。ところで、私は死別ですが、離婚でひとり親になった友人にもこの記事の内容は役に立ちますか。

離婚によるひとり親の方へ

藤井先生
ここは大事な確認です。改めてお伝えすると、遺族基礎年金は配偶者の死亡が前提の制度で、離婚によるひとり親家庭は対象になりません。友人の方には、この年金ではなく別の制度をご案内する必要があります。
みさき
離婚の場合はどの制度を見ればいいんでしょうか。
藤井先生
離婚によるひとり親家庭がまず確認すべき代表的な制度は児童扶養手当です。所得に応じて手当が支給される制度で、母子家庭・父子家庭どちらも対象になります。詳しくは児童扶養手当の記事にまとめてありますので、そちらをご案内してあげてください。医療費助成や貸付金など、この記事で紹介した制度の多くは離婚のひとり親家庭でも利用できます。
みさき
死別か離婚かで最初に見る制度は違うけれど、その先の支援はどちらにも開かれているということですね。
藤井先生
その理解で大丈夫です。次はよくある質問にまとめて答えていきますね。

よくある質問

みさき
最後にいくつか気になっていることを質問させてください。パートで働いて収入があるんですが、それでも遺族基礎年金はもらえますか。
藤井先生
受給開始後の給与収入に応じて年金額を減らすような一般的な所得制限はありません。年金と給与を得ながら生活している方は多くいます。ただし、受給権が発生する時点では、亡くなった方に生計を維持されていたことが必要で、原則として前年収入850万円未満または前年所得655万5千円未満という基準があります。児童扶養手当のように所得制限がある手当は、パート収入によって支給額が変わることがあるので、そちらは別途確認が必要です。
みさき
遺族厚生年金という言葉も聞きますが、これとは別物なんでしょうか。
藤井先生
遺族厚生年金は、亡くなった方が会社員や公務員として厚生年金に加入していた場合に、遺族基礎年金に上乗せされる年金です。自営業だった方が亡くなった場合は基本的に遺族基礎年金のみですが、会社員だった方が亡くなった場合は両方が支給される可能性があります。該当するかどうかは年金事務所で確認してください。
みさき
子どもが成長して18歳の年度末を過ぎたら、年金はどうなりますか。
藤井先生
対象となる子が全員18歳になった年度の3月31日を過ぎると、遺族基礎年金の受給資格そのものがなくなります。お子さんが複数いる場合は、末子が年齢要件を超えた時点で終了となります。また、対象となる子が婚姻した場合などは、年度末を待たずそれ以前に対象外となることがあります。年金が終了する時期が近づいたら、他の支援制度への切り替えも含めて早めに相談しておくと安心です。
みさき
よくわかりました。今日は不安だった部分がだいぶ整理できた気がします。ありがとうございました。
藤井先生
制度は複雑に見えても、要件と金額さえ押さえれば準備は進められます。わからない点があれば、遠慮せず年金事務所や市区町村の窓口を頼ってくださいね。

※本記事は令和8年7月時点の公表情報をもとに作成しています。遺族基礎年金の受給要件、年金額、必要書類、審査期間などは、個別の状況や市区町村・年金事務所によって異なります。請求が遅れると過去分を受け取れない場合があるため、自己判断せず、できるだけ早く市区町村の年金窓口または年金事務所へご相談ください。最新情報は、お住まいの市区町村の窓口または年金事務所でご確認ください。

よくある質問

遺族基礎年金は離婚によるひとり親家庭ももらえますか?
もらえません。遺族基礎年金は配偶者の死亡が前提の制度で、離婚によるひとり親家庭は対象外です。離婚の場合は児童扶養手当など別の制度が対象になります。
遺族基礎年金と児童扶養手当は両方もらえますか?
受給者が配偶者か子か、子の人数、公的年金の内訳などによって計算方法が異なるため、単純比較はできません。遺族基礎年金を受けることになった場合は市区町村の児童扶養手当担当窓口へ届出・申請が必要で、差額が生じるかは窓口で計算してもらう必要があります。
令和8年度の遺族基礎年金はいくらですか?
基本額は年額847,300円(昭和31年4月2日以後生まれの場合、昭和31年4月1日以前生まれは844,900円)で、子の加算額は1人目・2人目が1人あたり243,800円、3人目以降は1人あたり81,300円です。
子どもだけが遺族基礎年金を受け取る場合の計算方法は?
基本額847,300円に2人目以降の子の加算額を足した世帯合計を、受給権のある子の人数で割ります。子2人なら(847,300円+243,800円)÷2で1人あたり年額545,550円、子3人なら(847,300円+243,800円+81,300円)÷3で390,800円です。ただし子のある配偶者が受給している間や、子と生計を同じくする父母がいる間は子には支給されません。
父子家庭でも遺族基礎年金はもらえますか?
もらえます。平成26年4月の制度改正で対象が「子のある妻」から「子のある配偶者」に広がり、母子家庭・父子家庭のどちらも同じ基準で対象になります。
遺族基礎年金の請求に期限はありますか?
年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効により受け取れなくなる可能性があります。取扱いは受給権発生時期や事情により異なるため、自己判断せず年金事務所へ相談してください。
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